
焼肉業態売上高ランキング1位(2024年864億円)を誇り、全国で急成長を続ける焼肉チェーン店、焼肉きんぐ。こちらのサイトリニューアルにあたり、コンテンツ設計およびデザイン、動画、ビジュアルのディレクション、お子様企画ページデザインをクオートワークスでお手伝いさせて頂きました。




物語コーポレーション開発企画・デジタルマーケティング部上級マネジャーの奥原様、業態開発本部デジタルマーケティング部マネジャーの日渡様、業態開発本部デジタルマーケティング部スペシャリストの岡山様に、リニューアル前のサイトの課題からクオートワークスを制作パートナーに選んだ理由、実際のプロジェクトを振り返っての率直なご感想までお聞きしました。お忙しい中、このような貴重なインタビューの機会をいただけたことを大変嬉しく思います。
それでは、物語コーポレーションの皆様の声を通して、Webサイトリニューアルの舞台裏に迫っていきたいと思います。
※本記事では、株式会社物語コーポレーションの皆様を、ブランド名である「焼肉きんぐ」と表記させていただきます。
インタビューさせて頂いた方

- 物語コーポレーション(業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部上級マネジャー WEBグループグループ長)
- 奥原拓郎様

- 物語コーポレーション(業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部 WEBグループスペシャリスト)
- 岡山頼杜様

- 物語コーポレーション(業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部 WEBグループマネジャー)
- 日渡正朗様
1.リニューアルの背景
3年以上続いた画一的な情報発信からの脱却
クオートワークス: リニューアル前のサイトの課題や問題点について詳しく教えてください。
焼肉きんぐ: 以前のブランドサイトは、すべてのお客様に対して情報を画一的に提供するだけのものでした。ブランドの個性やターゲット層に合わせたUI設計や、シズル表現が十分ではなく旧サイトでは、ブランドらしさを十分に表現できていなかったと感じています。
特に大きな課題だったのは、「誰に情報を届けるべきか」という点が明確になっていなかったことです。焼肉きんぐというブランドにとって、ウェブサイトがどういう立ち位置であるべきか、という根本的な議論から始める必要がありました。
社内のウェブに対する認識改革も必要に
クオートワークス: その背景について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
焼肉きんぐ:実は4年前に焼肉きんぐのウェブサイトを変更したのですが、それ以前は何年も更新されていない状態が続いていました。当時は「CMSって何?飲食店のビジネスにおいてウェブサイトって大事なの?」という状態で、ウェブサイトの重要性自体の認識が不十分でした。
社内では「お客様はウェブサイトを見ない」という認識が一般的だったのですが、実際は月間300-400万人のユーザーと2000万PVという大きな数字が示すように、多くのお客様が積極的にウェブサイトを利用していました。この認識のギャップを解消することも、私たちの大きな課題でした。
食べ放題=質が悪いというイメージからの転換へ
クオートワークス: 新しいウェブサイトに求める役割や目標について具体的にお聞かせください。
焼肉きんぐ: 食べ放題=質が悪いというイメージを覆すことが第一の目標でした。「焼肉きんぐというブランドの売りは何か」が、サイトを見ただけでは伝わっていなかったことが大きな課題で、焼肉屋として見た際に美味しそうだと感じていただけること、そしてコース比較やお子様情報など、お客様毎に必要な情報が取得しやすいことを目指しました。
クオートワークス: リニューアルを決断されたきっかけについても教えていただけますか?
焼肉きんぐ: CMをはじめとする各種プロモーション媒体の役割を見直す過程で、「ウェブサイトも変えましょう」という流れになりました。単なるデザインの刷新ではなく、各種媒体とウェブサイトの役割分担を明確にし、統合的なマーケティング戦略の一環として位置づけることを目指しました。

2.クオートワークスを選んだ理由
クオートワークス: クオートワークスを知ったきっかけについて教えていただけますか?
焼肉きんぐ: 当初、社内でウェブ制作会社を検討する中で、弊社オカヤマから「ずっと注目してるんですが、、、面白い人がいます(笑)ぜひ!」という強い推薦を受けました。その「面白い人」というのが、貴社の代表であるムラマツさんのことでした(笑)
さらに、自分たちで参考になるサイトを探している際に、Asian Kung-Fu Generationの25周年サイトに出会いました。後からそれがクオートワークス様の制作だと知り、これは運命的な出会いだと感じました。様々なメディアでムラマツさんの仕事が取り上げられているのを目にして、その部分に強く惹かれ、論理的な制作アプローチに確かな手応えを感じました。

徹底的な技術チェックで確かめた実力
クオートワークス: 技術面での評価はいかがでしたか?
焼肉きんぐ: 普段からウェブサイトのHTMLやJavaScriptのソースコードを詳しくチェックする習慣があるんです。見た目の良いデザイン会社のサイトであっても、実装の裏側を覗いてみると期待外れなケースが多々あります。
でも、クオートワークス様のコードを確認させていただいたところ、安定した動作と洗練されたデザインの両面で高いレベルを実現されていました。技術的にも非常に整理されており、安定性の高さを感じました。
豊富なサンプルと迅速な提案に魅力
クオートワークス: 具体的にどのような点に魅力を感じていただけましたか?
焼肉きんぐ: ターゲット分析が非常にスムーズで効率的だったことですね。トンマナやワイヤーフレームについては、数多くのサンプルを提示いただき、それぞれの良い点・悪い点について丁寧に擦り合わせていただけました。『間違いない、任せろ』という確固たる態度で関係者へ説明いただいたことが印象的でした。
プロジェクトには一定の準備期間が必要だという認識は以前から持っていましたが、通常、着手までに時間がかかると発注側の不安は大きくなるものです。しかし、今回は違いました。具体的かつスピーディーな提案をいただいたことで、初めてのお取引という不安以上に、大きな期待と確信を持つことができ、それが最終的な決め手となりました。
悩みを共有できる関係性の構築
クオートワークス: コミュニケーションの面ではいかがでしたか?
焼肉きんぐ: 制作側と発注側となると、どうしても他人行儀になってしまうことが多いものですが、今回は違いました。悩みを言いやすい関係を作ることができ、しかもその悩みに対して想定以上の提案をいただけました。
温度感と方向性をこれまで感じたことがないほどスムーズに合わせることができ、当社の課題や目標、レストランビジネス、ひいてはブランド特性まで深く理解しようとする姿勢に感銘を受けました。これまでにない円滑なコミュニケーションで、プロジェクトの方向性や進め方について共通認識を持つことができたんです。

3. プロジェクトの進行とこだわり
契約前から始まった徹底的なブランド理解
クオートワークス: プロジェクトを通して、私たちの対応や姿勢はいかがでしたか?
焼肉きんぐ: 要件定義前の膨大なヒアリング資料とミーティングでのやり取りが特に印象に残っています。契約前にも関わらず、何度もコミュニケーションを往復したことで、弊社社員かと思うほどブランド理解、ビジネス理解を深めていただきました。このプロジェクトを通じて、Win-Winの関係を築けると確信しました。
提案の質や量の豊富さ、スピード感も素晴らしかったのですが、何よりも最後までやり抜こうとする気概に、プロフェッショナルとしての真摯な姿勢を感じました。スケジュールが厳しい状況でも積極的に提案をいただき、困難な場面でも前向きに解決策を示してくださいました。
クオートワークス: 具体的な提案内容について印象に残っているものはありますか?
焼肉きんぐ: 多くの場合は無難なデザインになりがちな中で、「焼肉きんぐらしさ」を追求するための提案を率直に示していただけました。例えば、過度にかっこよくしすぎない、入りやすさを重視した表現など、弊社の方針とぴったり合致する提案をいただきました。
読み込み速度4秒から1.3秒への挑戦
クオートワークス: 技術面での課題はありましたか?
焼肉きんぐ: プロジェクトを進める中で、技術的課題の一つがページの読み込み速度でした。リニューアルの開発途中では4秒程度かかっており、キャッシュを使用しても2秒程度を要していました。しかし、継続的な改善により、現在では1.3秒まで短縮することができました。これは本当に大きな成果でしたね。
クオリティと納期のバランスへの挑戦
クオートワークス: スケジュール面では課題は感じられましたか?
焼肉きんぐ: 正直なところ、「あと1ヶ月あれば」という声も上がるほど、理想的なクオリティと納期のバランスに課題を感じる場面もありました。例えば、美味しい食べ方ページについては、時間的制約もあり、さらなる改善の余地を残すことになりました。
とはいえ、その中でも期待以上の成果を出していただけたと感じています。短工期ながらも、品質を極限まで高めようとする姿勢には本当に感銘を受けました。

4. 新しいWebサイト公開後の成果
月間2000万PVの実績
クオートワークス: リニューアル後、具体的にどのような変化がありましたか?
焼肉きんぐ: リニューアル後、ブランドイメージの向上とサイトの使いやすさが大幅に改善されました。具体的な数字をお話しすると、月間300-400万人のユーザーが訪問し、2000万PVという大きな数字を記録しています。平均閲覧時間は3分を超え、再訪率も1.2-1.5倍に向上しました。予約ページへの誘導数も着実に増加しています。
予想を超える社内からの反響
クオートワークス: 社内外からの反響はいかがでしょう?
焼肉きんぐ: 社内から、かなり好意的に見られています。飲食業界では一般的にウェブサイトの重要性が過小評価される傾向にありますが、このリニューアルを通じて、その認識が大きく変わりました。
特筆すべきは、役員陣へのプレゼンテーションでの反応です。第2フェーズ、第3フェーズの改修内容についても承諾を得ることができ、「シズル感が増した」「使いやすくなった」といった好意的なコメントを多くいただいています。
さらなる改善への着手
クオートワークス: 今後の展望についてもお聞かせください。
焼肉きんぐ: コース比較の導線をよりスムーズにすることや、サブメニューの追従機能の実装など、すでに次の改善に向けた具体的な計画を進めています。月間2000万PVという大きなトラフィックを活かし、さらなるユーザー体験の向上を目指していきたいと考えています。
5. プロジェクトを通じて得られた学び
要件定義の深度がもたらす確かな成果
クオートワークス: プロジェクトを通して得られた学びについて教えていただけますか?
焼肉きんぐ: ざっくり言ってしまえば、要件定義の深度が最も大きな学びでした。プロジェクト初期のコミュニケーションの頻度の高さが印象的で、それによって要件定義をどこまで掘り下げるべきかという認識が大きく変わりました。
要件定義をしっかりと行うことで、後の工程での出戻りが少なくなり、方向性が明確になりました。さらには、社内の他のメンバーに対しても自信を持って説明できるようになる効果がありました。
デザインバランスへのこだわりが実を結ぶ
クオートワークス: 具体的な制作面での気づきはありましたか?
焼肉きんぐ: 余白やR値の取り方に至るまで、ワイヤーフレームの段階でしっかりとコントロールすることで、その後のクリエイティブの品質が格段に向上することを実感しました。多くのページを持つプロジェクトだからこそ、この細部へのこだわりが重要でした。
ブランドサイトの新たな可能性を発見
クオートワークス: 御社にとって、今回のリニューアルの意義や価値について改めてお聞かせください。
焼肉きんぐ: 飲食業界において、これまでウェブサイトの重要性は比較的低く見られてきました。衝動的な購買で意思決定されることが多い飲食においては、SNSや口コミサイトなど有効な媒体が他に多くあるためです。
しかし今回のリニューアルを通じて、ブランドサイトならではの表現の幅と機能性を再認識し、マーケティング戦略における重要な媒体として位置づけることができました。確かにお客様がどの媒体から情報を得るかは様々ですが、当社のマーケティング戦略の重要な柱として、ウェブサイトを位置づけることができたと考えています。

最後に
焼肉きんぐ: 初の発注にて、フルリニューアル(段階的)の短工期という困難なプロジェクトをやり切っていただき、本当にありがとうございました。弊社の稼ぎ頭ブランドという事もあり、社内でも意見が分かれ色々と難しいお願いも多かったと自認しております。そんな中、怒涛の提案と柔軟な対応をしてくれた皆様には、重ね重ね感謝しかありません。
一緒にプロジェクトをやっていて、楽しい!ワクワクする!それに尽きると思います。AIの台頭でSEOという概念も古くなりつつありますが、クオートワークス様なら「温故知新」を地で行き、ビジネスを共に大きく成長させていけるパートナーだと確信しています。
御社にお願いして、良かったと心から思っております。
クオートワークス: 素晴らしい評価をいただき、チーム一同、心より感激しております。焼肉きんぐ様のWebサイトリニューアルは、単なるデザイン改修にとどまらず、ブランド価値の向上とマーケティング戦略の再構築につながる重要なプロジェクトとなりました。焼肉業態売上高ランキング1位である御社とプロジェクトを共に達成できたことは、弊社にとっても大きな財産となりました。
物語コーポレーションの奥原様、日渡様、岡山様、お忙しい中、貴重なお時間を割いてインタビューにご協力いただき、心より感謝申し上げます。