1.多くの企業サイトは「オンライン名刺」にとどまっている問題
最近では、ほとんどの企業がWebサイトを持っていますが、実際にビジネスの成果に結びついているケースは意外と少ないのが現状です。
そこでこの記事では、企業サイトを本当の意味で役立つ集客ツールにするために必要なコンテンツについてお伝えしていきます。業種に関係なく活用できる基本的なポイントをご紹介しますので、ぜひ自社のサイト改善にお役立てください。
1.1.一般的な企業サイトの構成
皆さんの会社のサイトも、もしかしたらこんな構成ではないでしょうか?
- トップページ
- 会社概要と事業紹介
- お知らせ
- 制作実績の羅列
- 採用情報
- お問い合わせ
1.2.見込み客が求める本質的な情報
見込み客が最も重視するのは「自社の課題を解決できるパートナーなのか」という点です。そのため、以下のような具体的な情報を求めています。
- 自社の課題に対する具体的な解決アプローチ
- サービス導入により期待できる具体的な成果
- 取引開始までのプロセスや必要な準備、費用感
- 信頼できるパートナーであることを示す実績や事例の内訳
1.3.企業サイトに求められる役割
集客を目的とするWebサイトは「名刺」ではなく、「営業資料」として機能する必要があります。SNSには即時性と拡散力があり、新商品の告知や企業の日常的な活動の発信に適している一方、自社サイトは豊富な情報を体系的に提供できる場所です。この特性を活かし、具体的な課題解決事例や透明性の高い料金体系を提示することで、見込み客との信頼関係を構築していくことが重要です。
2.集客を機能させる為に用意すべきコンテンツ案
次に、「オンライン名刺」のような情報不足を解決するため、業種を問わず活用できる具体的なコンテンツ案を紹介します。
多くの企業ではすでに営業資料や提案書など、有効な情報資産を持っています。これらを活用することで、比較的容易に効果的なWebコンテンツを作成することができます。
たとえば、提案書から特徴・強みを抽出して分かりやすい「選ばれる理由」ページを作成したり、普段の商談での説明フローをベースにサービス概要を作成したり、顧客の声を整理して実績紹介に活用したりすることが可能です。
2.1. 特徴・強みページ
見込み客が最初に確認する重要なページです。競合との明確な違いと、企業の実績・成長性を客観的な数値データで示します。「なぜこの会社に依頼すべきか」という判断材料を、具体的な事実や数字を基に提供することで、検討段階の顧客の信頼を獲得し、具体的な商談へと導きます。
このページを用意するメリット
- 競合との差別化ポイントが数値で明確になる
- 企業の実績と信頼性が客観的に伝わる
- 規模感・成長性の理解が促進される
- 自社サービスの選択理由が伝わりやすい
- 特に大規模案件や長期的な取引を検討する顧客の判断材料となる
構成例
- 企業成長の推移グラフ
- 3つの主要な強み(具体例付き)
- 独自の技術・手法の解説
- 企業実績の数値データ(顧客数・リピート率など)
- チーム体制・専門性の説明
- 業界内シェア・ランキング
- 品質保証・アフターサポート体制
- 費用対効果の実績
- サポート対応実績
具体例
しおや内科・内視鏡クリニック|当院の特徴
https://shioya-clinic.jp/features/
当社の特徴|ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社
https://www.y-staff-supply.co.jp/strength/
八千代ポートリー|たまごへのこだわり
https://www.yachiyo-egg.com/feature/
2.2. 課題解決・価値提案、初めての方へページ
見込み客は「自社の課題を解決したい」という目的で情報を探しています。そのため、まず業界の課題を提示し、その解決策として自社サービスの価値を提案します。競合との比較や導入までの流れを示すことで、検討開始時の不安や疑問に答え、具体的な検討へと導きます。悩みに寄り添う形として、初めての方へなどのコンテンツとする場合も良いです。
このページを用意するメリット
- 見込み客の課題から入ることで共感を得やすい
- 課題解決の手段として自社サービスの必要性を理解してもらえる
- 競合比較で自社サービスの位置づけが明確になる
- 導入までの全体像を示し、検討のハードルを下げられる
- 予算・工数の概算を示せる
構成例
- 業界の課題提示(チェックリスト形式)
- 課題別の解決策提案
- 初めての方へ
- 3つの主要課題解決、できる事(図解付き)
- 解決後のビジネス成果
- 機能比較表(競合との比較)
- 価格帯の目安比較
- 導入の流れの全体像
- 必要な準備の概要
- 概要説明動画(1-2分)
- サポート体制の概要
具体例
初めてのお客様へ|遺品整理のエンディール
https://endeal.net/guide/
できる施策を探す | Rtoaster (アールトースター)(※弊社制作事例)
https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/best/
2.3. サービス紹介・事業紹介ページ
価値提案に興味を持った見込み客に向けて、サービスの具体的な内容を分かりやすく説明するページです。ここでは見込み客の理解度に合わせた説明が重要です。一般的な事業紹介のように自社視点で専門用語を並べたり、業界用語を多用したりするのではなく、「このサービスで何ができるのか」を具体的な活用シーンと共に示します。見込み客が自社の業務に置き換えてイメージできるよう、分かりやすい表現を心がける事が重要です。
このページを用意するメリット
- サービスの具体的な内容が理解でき、実務での活用イメージが持てる
- 分かりやすい説明で、社内展開時の説明資料としても活用できる
- 自社の業務にフィットするか判断できる
- 運用方法が具体的に分かり、導入計画が立てやすい
構成例
- サービス提供内容の一覧
- 各サービスの詳細説明
- 基本機能と特長的な機能の紹介
- 標準的な利用の流れ
- 業務シーン別の活用例
- カスタマイズ可能な範囲
- オプションサービスの内容
- 運用サポートの内容
- 保守・メンテナンス内容
- 品質保証の内容
- 利用開始までの手順
- 無料トライアル・デモの案内
- 導入後のサポート体制
- お問い合わせ・相談窓口
具体例
サービスのご紹介 | 株式会社ウィルオブ・ワーク(※弊社制作事例)
https://www.venect.jp/services/
事業内容 | VENECT(ヴェネクト)
https://www.venect.jp/services/
2.4. プラン・費用に関わるページ
予算感を明確に示すことで、真剣な検討者からの問い合わせを促します。プランごとの違いを分かりやすく説明し、見込み客が自社の状況に合わせた選択をしやすくすることで、成約率の向上につながります。サービスページの中に組み込む形でも良いです。
このページを用意するメリット
- 予算感が合わない顧客との無駄な商談を避けられる
- 料金に関する問い合わせ対応の工数が削減できる
- 価格の透明性が信頼につながり、成約率が向上する
- 顧客が自社の予算に合わせたプラン検討をしやすくなる
構成例
- 料金プラン一覧(比較表形式)
- 初期費用・月額費用の内訳
- 機能別オプション価格表
- 支払い方法・契約期間説明
- 無料トライアル案内
- 割引制度の説明
- 追加料金が発生するケース
- 見積り依頼フォーム
- よくある質問(料金に関する)
- カスタマイズ時の料金目安
参考価格・費用相場・リフォームにかかる費用について|TOTO株式会社
https://jp.toto.com/reform/library/cost/
2.5. お客様の声・実績紹介ページ
見込み客にとって最も説得力のある集客コンテンツです。導入から成果創出までの詳細な過程を、実際の事例を通じて紹介します。数値実績による効果の可視化、選定から運用定着までのプロセス、担当者の生の声など、多角的な情報を提供することで、見込み客の不安を解消します。特に同業種や同規模の企業の導入事例は、見込み客が自社での成功をイメージしやすくなります。
このページを用意するメリット
- 第三者の声による客観的な評価が得られ、信頼性が高まる
- 見込み客が自社の状況と照らし合わせやすくなる
- 導入効果を具体的に示すことができ、投資判断の材料となる
- 導入プロセスの透明性が高まり、検討ステップが明確になる
- 既存顧客の声を通じて、自社サービスの強みを効果的にアピールできる
- 長期的な関係構築の姿勢を示せる
構成例
- 主要導入企業ロゴ一覧
- 導入効果の数値実績
- 詳細なインタビュー記事(3-5社程度)
- 選定理由と決め手
- 数値での効果検証
- 担当者インタビュー
- ビフォーアフター比較表
- 活用事例の動画
- 業種別の成功事例
- 受賞歴、第三者からの評価、メディア掲載紹介
クオートワークスのブログ(お客様の声)
https://quoitworks.com/blog/category/voice
2.6. ミッション・ビジョン・バリューページ
企業の存在意義や目指す方向性を示すことで、価値観の共有を通じた信頼関係構築を促進します。特に長期的なパートナーを探している見込み客に対して、自社を選ぶ決め手となる情報を提供します。具体的な取り組みと結びつけることで、企業理念の実践を示します。
このページを用意するメリット
- 企業の方向性への理解が深まる
- 価値観の共有による信頼関係の構築
- 長期的な関係構築の基盤となる
- 採用活動にも活用できる
- 経営の一貫性を示せる
構成例
- ミッションステートメント
- 目指す未来像(具体例付き)
- 3-5つのコアバリュー
- 経営者メッセージ
- 社会貢献活動の紹介
- 企業の歴史・沿革
- 今後のビジョン
About|米
https://komeinc.com/about/
2.7. ナレッジ発信・オウンドメディア・ブログ
業界や専門分野の知識を体系的に提供することで、自然検索からの集客を強化します。実践的で役立つ情報を定期的に発信することで、潜在顧客との接点を増やし、企業の専門性への信頼を築きます。特に情報収集段階の見込み客を引き付け、長期的な関係構築のきっかけを作ります。
このページを用意するメリット
- 検索エンジンからの自然流入が増える
- 企業の専門性と信頼性が効果的に伝わる
- 見込み客の教育コンテンツとして機能する
- 競合との差別化要因となる
- SNSなどでシェアされやすいコンテンツとなる
- 営業活動での説明資料として活用できる
構成例
- 業界トレンド解説
- 課題解決事例集
- ハウツーガイド
- 用語集・基礎知識
- お役立ち資料ダウンロード
- 業界ニュース解説
- 専門家コラム
- ホワイトペーパー
- 定期的なブログ記事
- よくある質問(FAQ)
- 業界レポート
- 活用ノウハウ集
- 技術情報の解説
- セミナー・イベント情報
- メールマガジン登録
三気堂コラム|三気堂薬局|熊本の調剤薬局
https://sankido-kumamoto.com/news/column
3.まとめ:優先順位をつけた効果的なコンテンツ整備
ここまで、企業サイトで必要となるコンテンツについて解説してきました。「すべてを一度に整備するのは大変だ」と思われる方も多いと思います。そこで最後に、効果的な優先順位づけと具体的な整備手順を説明します。
以下に紹介するコンテンツ例は、業種を問わず活用できる基本的な要素を中心にまとめています。自社の状況に合わせて必要な要素を選び、できるところから着手していくことをお勧めします。
まずは既存コンテンツを見直す
多くの企業サイトには、すでに以下の基本的なコンテンツが備わっていると思います。
- トップページ
- 会社情報(+簡易的な事業紹介)
- お知らせ
- 簡易的な実績紹介
- 採用情報
- お問い合わせ
これらの基本コンテンツを土台としながら、以下の3段階で情報を充実させていくことで、効率的に集客力を高めることができます。
第1段階:基本コンテンツの拡充
まずは見込み客が最初に必要とする基本的な情報を整備します。特徴・強みを明確に示し、サービスの概要を分かりやすく説明します。料金プランを明示することで、問い合わせ前の判断材料を提供し、質の高い商談につなげます。
充填すべきコンテンツ例
- 3つの主要な強み(具体例付き)
- 企業実績の数値データ(顧客数・リピート率など)
- 品質保証・アフターサポート体制
- チーム体制・専門性の説明
- 業界の課題提示(チェックリスト形式)
- 3つの解決できる事(図解付き)
- 導入ステップの図解
- サービスの全体像(図解)
- 主要機能一覧(カテゴリー別)
- 料金プラン一覧(比較表形式)
- 初期費用・月額費用の内訳
- 機能別オプション価格表
- 支払い方法・契約期間説明
- 見積り依頼フォーム
第2段階:信頼構築のためのコンテンツ追加
基本的な情報整備が完了したら、実績紹介をベースに信頼構築のためのコンテンツを追加します。具体的な導入事例やサポート体制の説明により、「この会社に依頼して大丈夫か」という不安を解消します。
充填すべきコンテンツ例
- 主要導入企業ロゴ一覧
- 詳細なインタビュー記事(3社程度)
- 導入効果の数値実績
- ビフォーアフター比較表
- 業種別の成功事例
- 運用定着までの工夫
- ミッションステートメント
- 具体的な取り組み事例
- 経営者メッセージ
- 社員の声・インタビュー
- 企業の歴史・沿革
- サポート範囲と体制の説明
- 問い合わせ対応フロー
第3段階:専門性を訴求する発展的なコンテンツ
最後に、既存のお知らせやブログを発展させ、専門性をアピールするコンテンツを展開します。ナレッジの共有により、競合との差別化を図ります。
充填すべきコンテンツ例
- 業界トレンド解説
- 課題解決事例集
- お役立ち資料ダウンロード
- よくある質問(FAQ)
- 活用ノウハウ集
- 専門家コラム
- 業界レポート
- 用語集・基礎知識
- ハウツーガイド
- 技術情報の解説
- セミナー・イベント情報
- 製品・サービス比較表
- 選定のためのチェックリスト
- メールマガジン登録
これらのコンテンツは、業種を問わず活用できる基本的な要素を中心にまとめています。自社のリソースに合わせて、着実に改善を重ねていくことで、持続的な集客効果を生み出すサイトへと成長させることができます。
4.継続的な成長が資産となる自社サイトを生む
重要なのは、各段階で既存コンテンツとの連携を意識することです。実績紹介から関連サービスの詳細へ、お知らせから技術ブログへ、製品紹介から料金プランへといった具合に、自然な導線を設計します。
簡易的な実績紹介更新できないサイトは古くなる一方です。アクセス分析による改善、問い合わせ内容の反映、定期的な情報更新、業界動向への対応、ユーザーの声の活用など、継続的な改善が必要です。
一度にすべてを整備する必要はありません。重要なのは、更新しやすいサイト構造の構築、運用していく体制の確立、そしてコンテンツ充填のロードマップです。これらを基に、まずは既存コンテンツの見直しから始め、効果測定をしながら段階的に拡充していくことで、持続的な集客効果を生み出すサイトへと成長させることができます。自社のリソースに合わせて、着実に改善を重ねていくことで、サイトは大きな資産となっていくと思います。